【シリーズ「十年一昔というけれど」(2)】富山大学歩行圏コミュニティ研究会、通称ホコケンのはじまり
2023.01.06
◆富山大学歩行圏コミュニティ研究会(以下、ホコケン)はどう始まったのか。当時、自治振興会長だった四谷善造さん、星井町地区長寿会連合会長武田文雄さんにお話を伺いました。
--ホコケンとの出会いは
(四谷) 中林先生からの声掛けから、ホコケンができたもんでね。当時、自治振興会の会長を私が、武田さんが星井町地区長寿会のまとめ役をしていた。歩行補助はお年寄りの問題だから、武田さんにも声を掛けたんですね。まずは二人で中林先生から内容を聞いて、武田さんから地区長寿会のみなさんにお話していただいたわけなんです。私自身、不安を感じていたし、なかなか難しい話だな、って。
--不安を感じたところは何でしょうか。
(四谷) 年を取ったら足腰も弱くなって、それでも歩けるようなことも考えなきゃならん、ということがありました。星井町地区の高齢者の人数も、富山市の各連合会の中で2番目に多い。さらに年を取ったら大変だ、と感じておったんです。それで、武田さんに、年寄りは足腰痛くなって動けなくなってくるもんだから、あとでどうなると言っていたら遅いから、そこを武田さんに皆さんと話してもらえんか、と。
(武田) これまで7つの老人会が点々と計画して、 全体として何かを取り組んでいこうとした経験がないもんですから、どうしたらもんかと不安が先に立ちました。
(四谷) そうしたら、ここに歩行補助車がほいと出てきたもんでね。それからは「あぁ、これでやるのか」という風にね、みんなが理解したんでね。それからこの歩行補助器の話になっていってね。
(武田) この研究は、難しいタイトルもついていたんだよね。
(中林) 社会資本を活性化する、今で言うとソーシャルキャピタルを活性化させる。これが理解してもらいにくいところもありました。
◆◆自治振興会長でいらっしゃった四谷さんの問題意識と重なりつつ、そこに歩行補助車が登場することで、やりたいことが徐々に共鳴していく様子。一般的にソーシャルキャピタルというと人に焦点が当たりがちですが、モノが入ることでまた違う役割をもたらしてくれるのかもしれません。