【シリーズ「十年一昔というけれど」(3)】ホコケンとモノづくりへの参加~シンボルとなった歩行補助車~
2023.01.18
◆ホコケンでは歩行補助車づくりに、住民が参加されています。当時、自治振興会長だった四谷善造さん、星井町地区長寿会連合会長武田文雄さんにお話を伺いました。
(四谷) 試作の歩行補助車が来て、話が進んだんだね。それで、例えば、武田さんがこれでまちなかを歩くのは格好悪い気がするとか、電車通りのレールに引っかかるよ、とか。こんな自分たちが経験したことを、大学の先生、技術者の方に話を聞いてもらって、見た目や車輪の大きさが変わっていった。自分たちは総曲輪の通りを歩いてみたり、地区のお年寄りに使ってもらったり、欠点を話し合ったりした。座るところもあるし、立つときの支えてもあるし、ほんのちょっとしたことでも話させてもらって、三協立山の人も自分たちで考えられて、そうしていろいろな便利性能ができていったわけですね。
--モノがあって、それについて一緒に考えると。
(四谷) それと私たちの取組を知ってもらいたいと、イベントもしました。知ってもらいたいから、ホコケンの歩行補助車で総曲輪通りを歩いて、アピールしました。市内だけではなく、郊外にも出て行ったりしました。
(武田) 最近、私たちの取組がどこまで影響しているかはわからないけれど、いろんな歩行補助器を使って歩いている人を結構見かけるんですよね。
(中林) 歩行補助器を使うことへの抵抗感はなくなってきているように思います。
(武田) 先日、私の近所で、足の悪いおばあさんが私の家の前を通ったから、富山大学の先生とこういう歩行補助車の研究をしていたんだよと話しかけたら、「私もこういうのがないと外に出れないの」って話していた。どうしても必要な人はいる。けれども、街でこう押しているカートは実に恰好がよくない。年寄りのイメージが強くて、いつ転んでしまうか。その点、われわれの歩行補助器は恰好が良い。実によくできていると思う。
(中林) 機能的にもよくできていて、あれを使うと歩ける人は結構いる。「楽だぁ」と。
(武田) 最近はやはり年には抗えないもんで、歩いているとふらつくというか、ちゃんと地球を踏んでいない感じがする。だから、あの歩行補助器にも捕まるところがあって、とても良いと思う。
◆◆突如、目の前に現れた歩行補助車の試作機に対して、意見を出したり、使ってみたり、他の人にアピールをしたり。ふつうに購入するだけでは生まれにくいモノと人の関係がそこにはあるように感じられました。